キリストに倣いて(3.43.4 むなしい世間の知識に対して)

 かつてある人はわたしを深く愛し、それによって神のことを悟り、驚くべきことを語った。

 その人は深遠微妙なことを研究するよりも、むしろいっさい万事を捨てることによって進歩したのである。

 しかしわたしは、ある人々には普通のことを語り、ある人々には特殊なことを語り、またある人々には快い表徴や形象で現われ、ある人々には大光明のうちに奥義を示すのである。

 書物の説くところは同一であるが、それに教えられるところは、万人一様でない。というのは、わたしこそ人の胸の奥にいて、真理を教え、心情を探求し、思想を知り、行動を勧めるのであって、人めいめいにわたしの適当と認めるところに従い、分け与えるからである。