キリストに倣いて(3.53.3 神の恩恵は、地上の物を味わう人に与えられぬこと)

 かような高い境地までのぼろうと思うならば、あなたは自分や自分の物、物質的宝をむやみに大事にする隠れた愛情を打ち破り、根絶やしするために、勇ましく取りかかり、斧をその根に当てなければならぬ。

 このむやみに自己を愛するという悪いくせこそ、打ち破り根絶やしすべきあらゆるものの因となっているので、この悪さえ一たび打ち従え、抑えつけてしまえば、大なる安らかさと静けさがたえず続くだろう。

 けれどもまったく自分に死し、これをすっかり離脱しようと努める者は少ないから、それで人々は相も変わらず自分に捉われたまま、霊がその上に高くあがることもできないのである。

 しかしわたしと共に自由に歩みたいと思う者は、自分の悪い放縦な愛情をことごとく押し殺し、いかなる被造物にも恋いしい情や特別な愛をもって執着するようなことがあってはならぬ。