キリストに倣いて(3.54.14 本性と恩恵とはその働きが異なること)

 本性は、友人や親戚が多いことを喜びとし、位や家柄の高いことを誇りとし、権力ある人々に媚び、金持にへつらい、自分に似ている者をほめたたえる。

 ところが恩恵は、自分の敵までも愛し、友人がたくさんあっても得意にならず、家柄も素性も、それにすぐれた徳が伴わなければ、別にとうといと思わない。そして金持よりもむしろ貧しい人に好意を持ち、権力ある者よりも罪のない者に同情し、不正直な者でなく、真実を愛する人と共に喜び、善人に対して、いつもいっそうすぐれた賜物を得ようと熱心に努め、徳を積んで神のおん子に似た者となるようにすすめるのである。