キリストに倣いて(3.54.17 本性と恩恵とはその働きが異なること)

 本性は、しきりに秘密を知り、めずらしいことを聞きたがり、進んで外部に向かい自分を見せつけようとし、五官によって多くのことを経験しようとする。また人の目を引きたがり、賞賛、感嘆を博するようなことをしたがる。

 ところが恩恵は、新しいことやめずらしいことを聞きたいと思わない、なんとなれば、これはみな昔の堕落から起こったもので、地上には何一つ新しいもの、長続きするものはないからである。

 それで恩恵は、五官の慎しみ、むなしい自得や虚飾を避け、称賛すべきこと、感心すべきことでも謙遜に隠し、あらゆることから、また何を知っても、霊魂のためになる結果と、神の賛美光栄を求めることを教えるのである。

 恩恵は自分や自分の物をほめそらされることをねがわず、かえってただひとすじに、愛のみ心からいっさいをお与えになる神が、そのくださった物のために賛美されたもうことを望むのである。