マタイによる福音書16・26

人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の命を失ったら、何の得があろうか。自分の命を買い戻すのに、どんな代価を支払えようか。

 

個人とは個々の霊魂(たましい)である。これを英語でindividualという、分かつことのできないものの意(こころ)である。あたかも理化学で分子のことをatomというのと同じである。分子すなわちアトムはこれ以上分かつことのできないものである。そのように個人も霊的実在物としてこれ以上に分かつことのできないものである。人類はこれを人種に分かつことができる。人種はこれを国民に分かつことができる。国民はこれを階級に分かつことができる。階級はこれを家族にわかつことができる。そうして家族はこれを個人に分かつことができる。しかしながら分離はこれを個人以下に及ぼすことはできない。個人は分かつことのできないものである。個人は人そのままである。神の子、永久の存在者、自由独立不滅の固有性を持ち、全世界を代価に換えても贖(あがな)うことのできないほど、貴いものである。(内村鑑三、7/4)

 

確かにIndividualというのは「分けることの出来ないもの」の意味である。私たちの体は分けることは出来ても(爪を切ったり、髪を切ったり)、霊魂は分けることが出来ない。そしてそれはとても大切なもの。大切にして生きていこう。(林、2013/7/4、別府)