キリストに倣いて(3.27.1 自分を愛する心はいと高き神に達するのをもっとも妨げること)

 わたしの子よ、あなたはいっさいを得るためにいっさいを捨て、何物をも自分のものとしてはならぬ。

 自分を愛する心は、この世のいかなる物よりも、あなたに害があることを知るがよい。どんな物でも、あなたがそれを愛したり好んだりする程度に従って、多少あなたを束縛するのである。

 もしあなたの愛が潔く一筋で、よく節度に適ったものであるならば、あなたは何物にも捉われることはあるまい。

 持ってならないものは、望んではならぬ。

 あなたを妨げ、またあなたの心の自由を奪うようなものは、持とうとするな。

 あなたが望み、あるいは持ってもさしつかえないすべての物とともに、あなた自身を心の奥底からわたしに任せないのは不思議のいたりである。