キリストに倣いて(3.53.1 神の恩恵は、地上の物を味わう人に与えられぬこと)

 わたしの子よ、わたしの恩恵は貴重であって、外界の事物や、地上の慰めと混同することを許さない。

 だからあなたは、恩恵を自分のうちに注ぎ入れられたいと望むならば、その妨げとなるものをことごとく捨て去らねばならぬ。

 自分のために静かなところを選み、独居を楽しみ、何びととも話をしようと思わず、むしろ神に敬虔な祈りをささげるがよい、そうすればあなたは、心の痛悔と、良心の純潔とを保つことができるだろう。

 全世界を無視し、外界のあらゆる物事よりも、神との交わりを大切にせよ。

 なんとなれば、わたしに仕えながら、同時に過ぎ行くはかない物を楽しみとすることはできないからである。

 あなたは知り合いや親しい人々から離れ、あらゆる一時的な慰めから心を引き離しておかなければならぬ。

 だからこそ使徒聖ペトロも、キリスト信者に「この世にあっては、寄留者や旅びとのようになること」(ペトロ前書2.11)を求めているのである。