キリストに倣いて(3.58.2 高遠なことや、うかがい知るを許さぬ神のおぼしめしをせんさくせぬこと)

 同様にまた、諸聖人の功績についても、そのうちのだれが他よりも聖であるとか、だれが天国で偉大であるとか言って、せんさくしたり議論したりしてはならぬ。

 こういうことはたびたび、無用の喧嘩口論を引き起こし、高慢や虚栄心を養う。

 そしてそれによって、ひとりが傲然としてある聖人をすぐれていると言えば、ひとりは他をすぐれていると言って、嫉妬や仲違いが生ずるのである。

 かようなことを知ろう、探ろうとするのはなんの利益もないばかりか、かえって諸聖人に不快の念を与えるだけである。なんとなれば、わたしは「争いの神ではなく、平和の神」(コリント前書11.33)であって、この平和は、おごり高ぶるよりも、真の謙遜にこそあるからである。