キリストに倣いて(3.58.1 高遠なことや、うかがい知るを許さぬ神のおぼしめしをせんさくせぬこと)

 わたしの子よ、慎んで高遠なことや、窺い知るを許さぬ神のおぼしめしについて、議論を闘わすな。たとえばなぜこの人はこのまま打ち捨てておかれ、あの人はあれほど大なる恩恵をこうむっているのか、またなぜこの人はこれほどひどい苦しみを受け、あの人はあれほど高い地位に上げられているのか、というようなことについてである。

 これらのことは、人間の力のとうていおよばぬところであって、いかに道理を考え、議論して見ても、神のおぼしめしを見ぬくことはできないのである。

 だから敵なる悪魔が、あなたにこういうことをほのめかしたり、あるいはあなたが物好きな人々のこれを穿鑿しているのを聞いたりしたときには、あの預言者の言葉を答えとするがよい。

 「ああ主よ、主は正義であってその審判は正しいのです。」(詩編118.137)と。

 それからまた、「主の審判は真理で、すべて正義であります。」(詩編18.10)と。

 わたしの審判は恐れるべきものであって、せんさくすべきものではない。なんとなればそれは人間の知恵では悟ることができないものだからである。