キリストに倣いて(4.8.2 十字架上のキリストの犠牲および自分を捨てること)

 あなたはわたしのほかのものをことごとく所有しても、物足りぬであろう。

 それと同時に、あなたが何を与えようと、あなた自身をささげぬうちは、わたしを喜ばすことはできないのである。

 あなた自身をわたしにささげ、自己の全部を神に与えよ、そうすればあなたの奉献物は嘉納されるであろう。

 見よ、わたしはあなたのために自己の全部をおん父にささげ、わたしのからだも血もすべてあなたの食物として与えたが、それはわたしがまったくあなたのものとなり、あなたがいつもわたしのものとなるためであった。

 しかしあなたがもし自己のうちに留まったままで、快く自分をわたしの意志に任せようとしないなら、あなたの奉献物は完全でなく、またわれわれの間に完全な一致はないだろう。

 だからあなたは、もし自由と恩恵とを得たいと思うなら、何をするにもその前にまず快く自分を神のみ手にささげなければならない。

 というのは、照らしをこうむり内心をまったく捨てることを知らないからである。

 わたしの宣告は厳としている、いわく「自分の持っている物をことごとく見かぎらない者は、わたしの弟子になることはできない。」(ルカ14.32)と。

 ゆえにもしわたしの弟子になりたいと望むならば、あなたのいっさいの愛情とともに、あなた自身をわたしにささげよ。