キリストに倣いて(3.42.1 平安は人の間に求めてはならぬこと)

 わたしの子よ、もしあなたが気の合った人だから、とか、いっしょにいる人だからとか、とかいう理由で、ある人を頼みとして平安を得ようとするならば、落ちつきを失ったり、ごたごたにまきこまれるだろう。

 しかしあなたがもしつねに生きて存在する真理によりすがるならば、友人が離れようが、死のうが、悲嘆に沈むことはないだろう。

 あなたの友人に対する愛も、わたしを基礎としなければならぬ。そしてこの世でだれがあなたに良友、親友と思われるにせよ、その人を愛するのは、わたしのためであるべきである。

 わたしがなくては、いかなる友誼も値打ちがなく、また永続しないだろう、わたしが結ばぬ愛情は、ほんとうの、純潔いものではないのである。

 あなたは愛する人々に対するそういう愛情に死んでしまって、自分だけは人との交際をまったくなくしたいと思うほどにならなければならぬ。

 人は地上の慰めから遠ざかれば遠ざかるほど、ますます神に近づくのである。

 また自分において深く謙り、自分を卑しい者と思えば思うほど、いよいよ神に向かってのぼり行くのである。