キリストに倣いて(3.54.9 本性と恩恵とはその働きが異なること)

 本性は、この世の物事を重んじ、地上の利得を喜び、損をすると悩み、少しでも気にさわることを言われるとすぐに怒る。

 ところが恩恵は、永遠の物事に意を注ぎ、時と共に過ぎ去る物に執着せず、物を失っても心を乱さず、ひどい言葉を聞いても腹を立てない。というのは、その宝、その喜びとするものは天にたくわえてあって、そこでは何一つ失われることがないからである。