キリストに倣いて(4.15.3 敬虔の恩恵は謙遜と克己とによって得られること)

 あなたが心を尽くして神に自分をささげ、自分の好みに従ってこれをとったりあれを取ったりせず、自分をまったく主にお任せするやいなや、たちまちあなたは神と合一し平和を得るだろう、それは神のみ意をお喜ばせすることほど、あなたを楽しませ満足させることにほかにないからである。

 だから、だれでも純真な心で、その志を高く神に向け、被造物をむやみに愛したり憎んだりする念から離脱する者は、最も恩恵をこうむるに適し、敬虔の賜物を受けるに足るだろう。

 なんとなれば主は、容物が空虚であるのをごらんになる時、そのおん祝福をお与え下さるからである。

 そして人がこの下界の物事を、完全に捨て去れば捨て去るほど、また自分を軽んじて自我に死すれば死するほど、恩恵はますますすみやかにくだり、ますます豊かにはいり、ますます高くその自由な心を引きあげるだろう。